先週一週間、どっぷりと神戸大学に缶詰となり勉強してきた UNISG (University of Gastronomic Sciences :食科学大学)のスプリングスクールの様子をちょっとずつ、何回かに分けてレポートしたいなと。一週間様々な角度から食と向き合う中で、自分の専門領域に近い部分もあればそうでない部分もあって難解な授業も多くありましたが、授業のあとのクラスメートとのディスカッションが私の理解を助けてくれました。
今日は、前半戦の授業の中で、あらためて気づかされた食の出身に対する意識について。
食についての法律の専門家がいるヨーロッパ
以前から、フランスでいうとAOC、イタリアでいうとDOCGというようなワインの格付けが行われていることは知っていたし、そのシステムはワインだけでないハムやチーズなどにも使用されていて安心・安全という面だけでなく様々な背景ごと飲む、食べるという食文化のもと、「どこで」作ったのかということが日本以上に特に重要視されていることは知っていました。
これらの法律をヨーロッパ全体で統一したものがDOOR。
今回私が参加した、一週間の UNISG in KOBE で最初の授業は UNISG の副学長でもあるPh.D.Fino の授業でこの「法律が扱う食」についてでした。
これらを知識として若干かじってはいたものの、あらためて、弁護士でもある Fino 先生からこの授業を受ける機会は、そうか、”このガイドラインを扱うのは弁護士なんだ”とハッとさせられました。
知っている人から見れば当たり前ではあると思うのですが、そもそもの原産地呼称制度が国レベルでまだまだ進んでいない日本では、地理的表示やJIS規格など、ありとあらゆる食品の標示規定などについての講義は(少なくとも私が勉強してきた東京農大と信州大学においては)各学科にいる食品や生物関係の教授たちが授業の中で少し説明する程度で、法律の専門家による授業などはまずもってなかっただけに、あらためて確かに、それも法律だよな、と思わされる体験でした。
”商標”以上に”地理的標示”を大事にしてきたヨーロッパ
それだけ、ヨーロッパというのはその食べ物が「どこで作られたのか」ということに対し厳格に扱ってきたという経緯がります。
「どこで作られたのか」ということは、ただの位置的な問題だけではありません。
土地は、その場所の気候・風土や歴史が重ねてきた文化を反映しているもの。地理的標示とはそういった背景をも映し出す「食」を尊重していく取り組みなのだということ。
ヨーロッパでは”商標”ができるよりも前から”地理的標示”を大切にしてきたと Fino 先生。
今は、科学が進歩し、土壌や気温だけの条件で言えば科学的に同じ条件を作り出すことができるかもしれない。でも、それだけではないんだということがよくわかる授業でした。
今日はここまで。
難解な授業はさらに続く。。。
Yukiko