30 年の時をめぐる、勧進帳

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ご縁あって石川県小松市で、「勧進帳の舞台となった安宅の席で、勧進帳を上演する」という亡き市川團十郎さんたっての希望をその息子、海老蔵さんによって叶えられる瞬間に仕事で関わる機会をいただきました。

 

昨日はお恥ずかしながら、初めての歌舞伎。

初めてにして、一生に一度見られるかどうかの、奇跡の上演。

 

今回の勧進帳小松特別公演は、安宅の関にこの一夜のためだけに作られた特設ステージの他に、お能の安宅、海老蔵さんの妹にして團十郎さんの娘さんの市川ぼたんさんによる静御前の舞、「安宅」に関係するすべてがそろった本当に特別な幕。
この歌舞伎のための仕事は30年前まで遡る。

30 年前に行われた「勧進帳小松八百年祭」にて團十郎さんに安宅で薪能を演じてもらったのをきっかけに、團十郎さんもいずれぜひ安宅で勧進帳をと切望してきたそう。それ以降、小松市公会堂や團十郎さんが監修したこまつ芸術劇場うららでの上演はできたものの、安宅での開催は叶わないままご急逝。
その想いが、息子、海老蔵さんと娘のぼたんさんにて叶った。

この 30 年には、歌舞伎の街小松で成田屋との親交を温めてきた市民からなる成松会の皆さんを始めとする本当に多くの方の想いやお働きの積み重ねがあってこその昨日の熱演。ここに 300 人からのスタッフや関係者の皆さんが関わられてのこと。

 

私自身、30 歳にしてはじめての歌舞伎。

自分が生きてきたのと同じ 30 年間という時間の中で、昨日の一夜にうららで行われた回を含め小松公演の 3 日間のためにどれだけ多くの方の想いが募った 30 年だったかと思うと、もう、感無量。

 

はじめてでも、心動かされる、迫真の演技。

そして歌舞伎ではとっても珍しいとされるカーテンコール。
どこか安宅の空に感じる團十郎さんの気配を探すような海老蔵さんの姿に、なんとも言えないこみ上げるものがありました。


市民をあげての歴史ある地での歌舞伎上演。

”Cultural City KOMATSU”

日常に伝統文化が今尚入り込んでいる小松のまち。
行けば行くほど旨味を感じるまちのようです。
とってもありきたりだけど、これを機に、歌舞伎座に足を運ぼうと、そう思わずにはいられない夜。

 

このような特別な機会をいただき、ありがとうございました。

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