【キャベツ日和。】キャベツと環境のコミュニケーション。

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そろそろ嬬恋村でも一部の地域でキャベツの収穫&出荷が始まりましたね!!つい最近まで巻いてなかったキャベツの葉がいつの間にか巻き始め、玉菜と呼ばれるほどのカタチになるのはあっという間です。

さて、本題。今日は私の専門分野♪

植物や動物は常に外界の環境に応答して独自のシグナル伝達を行う機構=環境応答機構を動かして寒さや暑さから自身や子孫を守ったり、なんらかの物質を感知して天敵を忌避させたりしています。その機能は独自に脳で考えるという能力の低い動植物、生体的地位の低い生物程高いものを持っています。そうでないと生きていけないから。より高機能な環境応答機構を動かし、夏と冬では自分の人生すら変えてしまったり、自分は耐えても環境に応答して種を遠くに飛ばして次世代をなんとか守ったり、それはもう、とにかくスゴイ!!の一言に尽きるのです。そういう意味では、私たちなんか今日の天気すら読めず、傘を持たなかったことを天気予報のせいにしたり・・・。彼らに比べて下等な能力の持ち主かもしれませんね。

キャベツの環境応答について、知人の嬬恋人、下谷氏のFacebookにて興味深い投稿があったので了承を得てシェアします。(以下、下谷氏投稿内容から抜粋。)

叫んで育つ!キャベツの高い特性!!
別に、愛してるよーって叫んでいると言うことではなく、キャベツが生育する時に害虫のアオムシやコナガ虫に葉を食べられると、虫の天敵を呼び寄せるために叫んでいると言う話だ。しかもそれは大きな声で。
キャベツの村だけれど、キャベツのことはすべて判っていると言うことではない。この10年余りの化学の進歩、特に微量物質の検出技術の進歩と遺伝情報の解読技術によって、キャベツの生きる知恵が判ってきたことに驚くとともに自然の営みに感心するばかりだ。
90年代頃から「植物が昆虫などの食害を受けた場合、その昆虫の天敵を呼び寄せる匂いの成分を誘導的に生産、放出する」と言う現象が報告され、最近は京都大学の生態学研究センターの研究等よって、キャベツの害虫であるモンシロチョウの幼虫・アオムシやコナガ虫が葉を食べると、キャベツはアオムシやコナガの天敵を呼び寄せるために、虫の天敵であるコマユバチを呼び寄せるのだと言う。しかも「食べた虫によって放出する成分のブレンドを変えて天敵を呼ぶ高い特色がある」(同センター)と言うからすごい。自然界のすごい三角関係に驚きだ。キャベツはボディーガードを呼ぶために大声で叫んでいるのだ。 生物間の相互作用のために放出する物質はトウモロコシでも確認されていて、自然界は興味深い。(写真のイラストは朝日新聞に掲載されたものです)

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この投稿が気になったので、私自身も原著論文から調べてみると・・・。

京都大学の生態学研究センターの塩尻かおり特定助教の研究結果によるもの。同研究では多くの場合、キャベツが害虫の量依存的に害虫の天敵の誘引物質を放出していることを示した。しかし、一部の害虫(コナガ:Plutella xylostella)場合は少し異なる。シキドリ(Brassica oleracea var. capitata)という品種ではコナガの量とは無関係にコナガの天敵であるコナガマユバチ(Cotesia vestalis)の誘引物質を放出する。一方、同じキャベツでもケール(B. oleracea var acephala)ではコナガマユバチに対しても通常と同じく、害虫の量に依存的であることを明らかにした。

まだ、その応答機構の違いについては明らかではないが、ケールの正直なシグナル放出機構とシキドリのオオカミ少年的なシグナル放出機構の違いにはそれぞれどのような意味があるのかが課題。今回の結果からは後者は必ずしもオオカミ少年ではなく、最初の天敵からの攻撃を合図に、集団攻撃を受ける前段階で防御反応を発令するためのシステムであることを示唆した。(K.Shiojiri et al.2010)

・・・とのこと。

嬬恋に住んでみると、実はたくさんあるキャベツの品種ごとの味の違いなどに驚かされますが、キャベツはキャベツという認識でも味だけではなく生物学的な他の動物との相互作用まで違ってくるなんて驚きですね!!こうゆう研究がより進んで、最終的にはヒトにも環境にも優しい、持続可能な農業が営めることを切に願います。

瀬尾裕樹子

出典:Kaori Shiojiri et al. Herbivore-Specific, Density-Dependent Induction of Plant Volatiles:Honest or”Cry Wolf”Signals?: PLoS One. 2010; 5(8): e12161.

 

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